この物語は「ハルアプリ」に登場する
主人公の物語です。
プロローグ
雲の切れ間から薄明かりが差している郊外の農園。「あああああ!!!危ないわよ!」ママたちの黄色い声がきこえます。それは実はヤギがママとじゃれている風景でした。ヤギはお客が大勢来たので嬉しいのです。その証拠に尾っぽが左右にせわしく振れています。
コウタはヤギを優しく撫でて、なだめています。初夏の風が草の緑とヤギの白、ママの黄色のカットソーの間を通り抜けていきます。それはまるで、モネの印象画の風景のようです。
コウタの誕生
仕事:ヤギのハルとともにハルーファームの指導員(スマフォ上で)
年齢:2005年生まれ18歳
父:ジャズミュージシャンでトランペット奏者
母:特別支援学校の教師
東京の吉祥寺で生まれました。
コウタは幼いときは恵まれた環境で育ちました。父の影響でピアノを習い吉祥寺第〇小学校には楽しくかよっていました。
転機
ところが、コウタが地元の中学に入学してまもなく、父が亡くなりました。40歳の若さでした。父を深く愛していた母は一時途方に暮れていましたが、気丈な性格からなんとか持ち直していました。
しかし、平穏な生活は長く続きませんでした。なんと亡き父が実はある会社の連帯保証人になっていたのが、発覚したのです。父は人から頼まれると断れない性格でした。その責任を母が一身に背負わされました。
わが家族の最大のピンチです。ローンで建てたマイホームは売却、その後様々なことがあり、一家は茨城のつくばに移り住むことになりました。
古い木造の借家住まいで、借金に追われる貧乏な生活でしたが、母は一生懸命に働きました。母は美人でしたので(現在も)言い寄る男もいましたが、母ははっきり断っていました。
そんな苦しい生活を支えたのが、実はパソコンのソフトウエアでした。「貧乏救済」のそのソフトは家計の現状を分析し、ユーザーを励まし脱出をめざすソフトです。
しかし、このソフトは倹約を勧めるだけではありませんでした。
なんと野菜つくりも指導していました。
自然の力
当時つくばの朝はまだ静かでした。静寂を破るのは高い空から飛翔してくるツバメたちの鳴き声。遠くからかすかに聞こえる寺の鐘です。
そんな6月の雨上がりの朝、庭のトマトが赤い実がつけていました。その実は朝日を受けてきらきらと輝いていました。トマトの匂いにも自然の強い力を感じることができました。
朝食でのトマトは、今までのマルゲリータピザの上のトマトやトマトスープの味とは全く違いました。それは、お日様の味まるかじり、味が濃く、おいしい。それは未知の新鮮な体験で楽しさ一杯なのです。
「 自家製トマトを食べているときは、楽しいこと以外を考えるのは難しい」と言ったアメリカ人がいましたが全くその通りです。
4.野菜の力に感動
実は野菜の魅力は、美味しいことだけではありませんでした。なんと野菜に含まれるビタミン、ミネラル類やアントシアニン等は生命の代謝活動に深く関与してアンチエージングや耐病効果に大きな役割を果たしていることが、雑誌、TV等で報告されていることを後に知りました。またトマトのカロチノイド(リコピン)などの抗酸化物質は、ガンや活性酸素を抑制するSOD(強力な抗酸化作用を持つ酵素の一種)を増やすことができると言われています。また共生型農業では、土中微生物の働きにより、野菜の味はより濃く、また有用物質もより濃密に形成されると言われています。それが化成肥料により促成栽培された野菜との大きな違いです。
ともあれコウタこの日の出来事を妙に忘れることができませんでした。はなんとなく力強い青春時代が到来するような気がしてきたのです。
5.農業への目覚め
このことからコウタは農業のことをもっと勉強してみようと思いました。それで日本園芸協会などの通信教育を受け「野菜ソムリエ」の資格を取得しました。また日本農業実践学園や茨城大学農学部の講座に積極的に参加し、共生型農業について学びました。その他実際のことは近所のお百姓さんが丁寧に教えてくれました。
こうして、その日は日々近づきつつありました。
6.ハルとの出会い
そんな折、ハル(ヤギ)との出会いには様々な事情がありましたが、今ハルとコウタは幸せな日々を送っています。ハルは実は母が教師をしていた、つくばの特別支援学校で生まれました。生徒たちの暖かいお世話で、ハルは元気に育っていました。ところがある日特別支援学校ではある事情から動物を飼えないこととなりました。そこで母はハルを自宅に引き取るこちにしたのです。 これから、また三人(ハルを含めて)の苦闘が始まりました。ハルは散歩が好きでよく公園に連れて行きました。ハルの後ろには母が塵取りを持って付いていきます。ハルは糞を所かまわず巻き散らかしてしまうのです。またハルの食事も問題です。草や牧草しか食べてはいけないのです。穀物を食べさせると尿道結石という大変な病気になってしまします。そこで牧草輸入業者から、USチモシーやカナディアンチモシーを分けてもらうことにしました。しかし、こんな苦労は以前から比べると天地の差があります。三人は貧しくても幸せな日々を送っているのです。
7.ハルファーム開設
ハルとコウタの活躍の時期がきました。今まで世間から受けた恩を返す時が来たのです。母が地元農家の協力得て、市民農園を開設する活動を開始したのです。この計画は数年がかりで計画されたもので、活動にはボランティアの人々や、自治体担当者、中小企業診断士、商工会、行政書士、設計士の皆さん等多くの人々が関わっています。そして二人は市民農園「ハルファーム」の主人公です。
ハルは主に接客を担当します。お客が来ると、立ち上がって迎えたりします。子供にはスリスリしたりします。
コウタはお客に本日の農作業のアドバイスをします。作業の具体的なことも指導します。
正式な開園が待ち遠しい二人です。
ハルアプリにてお会いしましょう。